ひきこもりA君の自立したケース
高校時代に登校拒否になったA君は、ある時、亡くなったはずの伯父さんの声を幻聴で聞くようになりました。
「Aちゃん、Aちゃん」
とA君を呼ぶ声。
一体この幻聴は何なのか。
これは、日本武道総合格闘技連盟の小沢理事長のところへ相談にきたA君の話です。
A君の登校拒否の原因は、学校で先輩に殴られている現場を好きだった子に見られたことでした。そして彼女に、
「あんたみたいな人に好かれること自体、気持ちが悪い!!」
と言われ、傷ついた彼はそれをきっかけにひきこもるようになったのでした。
道場に入門したものの、A君はとてもおとなしい子で、最初は格闘技で打ち合うこと自体出来ませんでした。そんな彼に小沢理事長は、
「おまえにはいいものがあるんだから、少しずつやっていけばいいんだ。」
と諭したところ、徐々に打ち合えるようになっていき、同時に、他人と接点をもてるようになり、その結果、現在と過去の自分も省みることが出来るようになりました。
格闘技の練習を通して彼と意思の疎通がはかれるようになり、1年くらいたった頃、小沢理事長は彼に、
「家の人に電話して、幼年期にどんなことがあったのか聞いてみなさい。」
と言ってみました。もうそういうことと向き合える状態だと判断したからです。
その結果、A君は幻聴の理由をつきとめました。
彼が3歳だった時、母親が家のお年寄りの看病に手を取られるようになって、伯父さんの所に預けられたそうです。
子供の頃は、母親と切り離されるだけで恐怖心で一杯になります。母親的な愛から切り離されて心に空洞が出来ていた時、伯父さんが、
「Aちゃん、Aちゃん」
と、名前を呼びながら凄く可愛がってくれたらしく、彼にはその声を聞くと
「安心した」という記憶がありました。
だから、彼が学校で色々あったり不安定になった時、その伯父さんの声の幻聴が聞こえたのでしょう。
そしてその記憶がよみがえることによって、彼は、
「ああ、母親に愛されていなかったわけではなく、そういう事情があったんだ。」
ということが理解できたのです。
結局1年留年してしまいましたが、この体験や格闘技によって次の年から勇気をもって学校に登校。自分より一つ年下と同学年になることに不安があったのものの、「さん」付けで読んでもらえる程度の話で心配したほどのことはありませんでした。又、たまたま学校のクラブの先生が日本武道総合格闘技連盟の道
場生だったことも幸運でした。
その後、格闘技を続けながら、なんの苦労もなく楽しく高校生活を過ごしました。彼は熱心なクリスチャンで、今は大学で神父になる為の勉強をしています。
「困っている人の心の支えになりたい。」
そう言って、人生を力強く歩んでいます。
人と関わる事によって割りと劇的に解消して、順調にいったケースです。
2006年10月24日
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